気が付けば、そのころから1年近くの時間が経過しています。と言っても我が家の場合はまだ完成した新居に住んでいないのですが、とりあえずこのブログのタイトルでもある建築家との家づくりは終了しています。 思い返せば家をつくると決断したころは不安や疑問でいっぱいでした。家づくりの知識が何もないところから出発してもそれなりに家は建つんだと実感しています。 ということで、今回の記事は建築家との家づくりの疑問について答える という形式で進めていきたいと思います。 ただし、ここでの家づくりに関する疑問というのは、過去に私自身が抱いた疑問のことです。そして、その疑問に対して現在の自分が解答してみようかと思います。 はたしてこの形式で今後家づくりを計画されている方の役に立つのか分かりませんが、なんとか分かりやすく読み応えのあるものにしたいと思います。Q. 建築家と建築士の違いは?
家を建てるなら建築家に頼みたいけど、そもそも建築家って何よ? 建築士とどう違うの? 一級建築士って聞くけど一級と二級に違いあるの?
A. 建築家という言葉の定義は難しいと思います。一般的には、ゼネコンやハウスメーカーに属さず、専業として建築設計を行う職業というのがイメージとして近いのではないかと思います。 ただ、芸術家と同じで建築家と称することに資格はいりません。ですので、私でも建築家と称することはできます(笑)。 日本建築家協会(JIA)では建築家憲章なるものがあり、建築家とは何かということについて理想を掲げています。建築家は、自らの業務を通じて先人が築いてきた社会的・文化的な資産を継承発展させ、地球環境をまもり安全で安心できる快適な生活と文化の形成に貢献します。 (創造行為) 建築家は、高度の専門技術と芸術的感性に基づく創造行為として業務を行います。 (公正中立) 建築家は、自由と独立の精神を堅持し、公正中立な立場で依頼者と社会に責任を持って業務に当たります。 (たゆみない研鑽) 建築家は、たゆみない研鑽によって自らの能力を高め役割を全うします。 (倫理の堅持) 建築家は、常に品性をもって行動し倫理を堅持します。 公益社団法人日本建築家協会(JIA)会員は上記憲章のもとに集う建築家であり、JIAは会員の質と行動を社会に保障するものです。 と立派な理念を持った職業を建築家協会は「建築家」としていますが、実質はこの協会に加入されていない建築家の方もたくさんいらっしゃるようです。 一方、建築士というのは明快です。こちらは国家資格を持った人を建築士と言います。建築士とは職業というよりも資格と言った方が正確です。建築士は、一級、二級、木造の3つの資格があります。 一級建築士は国土交通大臣の免許を受け、一定規模の複雑・高度な技術を要する建築物を含むすべての施設の設計および工事監理を行うことができます。 二級建築士は、都道府県知事の免許を受けて、延べ床面積500㎡未満の公共建造物、木造建築物または建築の部分で、高さが13mまたは軒の高さが9mを超えるものなどの設計および工事監理を行うことができると定められています。 一級建築士と二級建築士の違いは設計できる建物の大きさに違いがありますが、大抵の住宅は二級建築士が設計できる範疇のものです。そのため住宅設計を依頼するのであれば、一級でも二級でもどちらの資格を持った建築士さんでも構いません。Q. 建築家に設計を依頼する場合
そもそも建築家に設計依頼する人ってお金持ちじゃないの? デザイン重視で予算がかかるんじゃないの?
A. 我が家の場合、建築家との家づくりを考える前に、ハウスメーカーも検討しました。しかし、ハウスメーカーの物件は意匠的に納得できるものが少なかったため、建築家に設計を依頼することにしました。 しかし、いざ設計を依頼しようと思ってみても建築家に依頼すれば予算が膨らむのではないかという不安があったのも事実です。理由は質問のとおり、デザイン重視になるとどうしても建築費が高くなるのではないかという懸念がありました。 ところが、我が家の設計を依頼した建築家久野さん にお会いして、いざ話をしてみたところ、ハウスメーカーと同等の価格でそれとは違うものをつくることは可能 という心強いお言葉を頂きました。 結論から言うと、建築家に設計を依頼するのは、お金持ちだけではありません。我が家はごく一般的な庶民です。ネットで検索してみると分かると思いますが、あなたの住む地域にも建築家を生業とする人は必ずいます。 そのような建築家の施工例を見て、自分が気になる建築家をピックアップしてみて下さい。そして、実際に会って話をしてみて下さい。きっとあなたが希望する予算で依頼を受けてくれる建築家はたくさんいると思います。 我が家の場合、最初から計画した予算内で家を建てたいということを久野さんに明確にお伝えしていました。ですので、我が家の家づくりはコストコントロールというのが大きな主題であったと思います。こう言った家づくりというのは、ハウスメーカーよりも建築家の方が優れていると思います。 ハウスメーカーの場合、要望をかなえようとするとオプションという厄介な制度があります。建築家の場合は、こちらの要望についてコストコントロールを意識しながら、柔軟に対応できるというのが大きな利点であったように思います。 こだわりがあってなおかつ予算に制約がある方はむしろ建築家に設計を依頼した方がいいのではないかと個人的には思います。Q. 間取りについて
建築家に設計依頼する場合、間取りは自分で決めることができるの? 自分で間取りを決めたいんだけど。
A. 建築家に設計を依頼した場合、ほとんど制約というものはありません。基本的に完全オーダーメイドの家をつくることが可能です。 ですので結論から言えば、自分で間取りを決めることは可能 です。 家をつくるにあたり、自分で間取りを決めたいと思うのは当然のことだろうと思います。そして、自分で間取りの平面図を書きたいと思うのは自然なことです。 ただし、これについては注意が必要です。施主の方で間取りを指定しまうと建築家の自由な発想の足かせになってしまう場合があります。 私自身家づくりで感じたことは、素人は平面で家づくりを考えてしまいがち ということです。ところが、建築家は空間として設計を考えている ということです。おそらく建築家の方々は平面を空間として把握する能力というものを経験で身につけおられるのではないかと思います。 ですので、よほど間取りをこうして欲しいという強い要望がない限りは、ある程度間取りを建築家に任せた方が上手くいくのではないかと思います。もちろん間取りについて施主が口を出すなという意味ではなく、間取り以外のあらゆる面について施主から要望を明確に伝えるというのは重要です。Q. 建築家への依頼方法
そもそもどうやって建築家に設計依頼するのかよくわからない。 プロデュース会社って何?
A. 建築家への依頼方法というのはたくさんあると思います。 我が家の場合、目当ての建築家さんをネットで検索をして、直接メールで問い合わせをしました。その後何度かメールでやり取りを行って打ち合わせをする段取りまで決まりました。 建築家さんのHPに書いてある連絡先に連絡を入れれば、おそらく返信はあるだろうと思います。「予算がない」とか「建築家に依頼すると高そう」などと悩むよりも目当の建築家にコンタクトを取って直接悩みを相談される方が絶対にいいと思います。 どうしようと迷っているなら行動あるのみ です。電話でもメールでも何でもいいですので、とにかくコンタクトを取りましょう。そもそも仕事を依頼されて迷惑などと考える建築家はいないと思います。 プロデュース会社とは、施主とマッチングする建築家を仲介する業者と認識しておけば間違いないと思います。ググればいくらでもプロデュース会社が出てくると思います。 我が家の場合は、プロデュース会社に支払う費用が惜しいと思いましたので、利用しませんでした。 プロデュース会社を利用する利点は、コンペを通して自分に合った建築家を選ぶことができるという点にあると思います。我が家はプロデュース会社を利用していませんので、詳細を書くことができません。 しかし、ブログ村のこちらのカテゴリーにはプロデュース会社を利用されて建築家と家づくりをされている方のブログが確認できます。プロデュース会社のご利用をお考えの方は参考になるだろうと思います。にほんブログ村 Q. 施工会社は?
建築家に設計を依頼するとどうやって工務店が決まるの? 建築家が指定する工務店に施工を依頼した方がいいの?
A. 建築家と設計監理契約を締結した場合、建築家から工務店を指定してきたとしても従う義務はないと思います。 しかし、建築家が指定する工務店というのは、おそらくその建築家とこれまで仕事をしてきたためコミニュケーションが取りやすいなどのメリットがあるのも事実です。そのため減額調整などもスムーズに進む場合もあると思います。とは言っても建築家と工務店の間で利害一致の関係があるようでは施主の方としても困ります。 工務店との契約について施主側に有利に進むよう相見積もり という方法があります。建築家との家づくりに関しては相見積もりが基本と言えます。これは複数の工務店に同時に見積もりを依頼することを言います。 しかし、業績がいい工務店であるなら相見積もりを受けないという場合もあるようです。そのこころは、わざわざ他社と競合して利益を削りたくないという思惑があるそうです。 いずれにしても、建築家の家づくりにおいて工務店選びは重要となります。最終的に工務店と請負契約を結ぶのは施主になりますので、ここは建築家と相談しながらベストの選択をする必要があります。 我が家の場合、相見積もりを行いましたが、工務店の見積もりは予想よりも大きい金額でした。消費税の増税というのは材料費から人件費諸々の価格を押し上げます。今後、さらなる増税が予定されていますので、増税後に新築を予定されている方は頭の片隅にでもこのことを入れておけば参考になるだろうと思います。Q. なんということでしょうのあれ
某テレビ番組に出てくる人は建築家なの? 建築家は現場で大工さんと一緒に作業するの? 某テレビ番組のインテリアはダサくて嫌だ!
A. まず最初に言っておきたいのは、質問の某テレビ番組はテレビショーということです。ですので、建築家の家づくりの現実とは大きくかけ離れているのは事実です。 ある意味建築家との家づくりに誤解を与える罪つくりな側面もあります。 確かにあの番組に出てくる匠と呼ばれる方たちは個人で設計事務所を営む方々がほとんどのようです。ですので、ここで言う建築家ということになります。 私自身も某テレビ番組をよく見るのですが、これはテレビショーとして見るだけで、家づくりの参考には何一つなりません 。建築家の仕事というのは、施主と密に打ち合わせを繰り返して理想とする建物を設計するというのが最も重要な仕事であると個人的には思います。 あの番組は、この部分がすっぽりと抜け落ちています。番組の構成上、最後に施主がリフォームを終えた建物を見て感動するというのがクライマックスになってしまうため仕方がないと言えば仕方がないのです。が、それでは建築家との家づくりの醍醐味が全くないというのが率直な感想です。 建築家は、大工さんの真似事はしませんが、現場に行くのは真実です。建築家と施主が締結する契約は、設計監理契約 となります。これは、建築家が設計をしたものが、建築工事で設計図どおり施工が行われているかを監理する契約も含みます。 ですので、現場に行かない建築家というのは契約違反になります。ただ、施主の立場からすると某テレビ番組のように建築家が現場で大工さんの真似事をされても困ります(笑)。 それと某テレビ番組で気になるのは、完成した家のインテリアのテイストがいつも同じということです。おそらく同じインテリアコーディネーターがインテリアを選んでいるのではないかと推察します。しかし、正直選んでいるものが垢抜けせず、パッとしません。端的に言えばダサいです...。 建築家が携わっているのであれば、インテリアを含めて最後までちゃんとやってくれと毎回思ってしまいます。 実際、建築家との家づくりはインテリアについても相談にのってくださる方がほとんどと思いますのでご安心下さい。おしまい
建築家との家づくりというのは、全ての人に向いているというわけではありません。時間もかかりますし、自分で決めることが多いです。ですので、建築家の家づくりというのは多分に能動的な部分がありますので、それを面倒と思う人には不向きであると思います。 また、目当ての建築家の情報や評判というのも限られていますし、設計依頼に不安を覚えるのは当然かと思います。 しかし、建築家との家づくりというのは敷居が高いものではありません。建築に関する知識があるに越したことはないですが、そのようなものも必要がありません。 建築家の出会いは恋愛関係に似ていると聞いたことがあります。 恋愛に関してはタイミングやフィーリングなど様々な要素が一致しなければ成立しません。建築家の家づくりも確かに似たようところがあるかもしれません。 家づくりは誰をパートナーと選ぶにしろ大変であることは間違いありません。しかし、かたちのないものが出来上がっていく過程というものは、心躍るものがありました。 今後家づくりを予定されている方は、その楽しみを味合うことができます。それだけは間違いないことであろうかと思います。回答者全員にプレゼント! にほんブログ村 にほんブログ村 ]]>