地震に強い家を考える

2016.08.02 Tuesday

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    少なくはなったものの、ときおり熊本では余震が続いている上に梅雨に豪雨がありました。

    我が家では普段通りの生活をしていますが、近所の大型店舗などでは通常営業ができていませんし、幹線道路は不通が続いています。まだまだ復興道半ばという感じです。

    いつ何時どこで地震が発生するかということは、残念ならがら今の科学技術では予測できません。そうであるなら普段から地震に対する備えは必要です。

    このブログは、おそらくこれから家を建てようとされる方々が多く読まれていると思います。そのため、地震が発生する前に命と家をどう守るのかということを考えてみたいと思います。

    まずは地震を知る


    先日、TSUTAYAで「カリフォルニアダウン」という映画を借りて見ました。

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    アメリカ大陸太平洋岸に存在するサンアンドレアス断層を震源とした観測史上最大規模の地震が発生して、カリフォルニアが壊滅的な被害を受けるという話です。プロレスラーのザ・ロックが主演しており、ハリウッド映画らしく、家族愛で絶体絶命の危機を乗り越えるというご都合主義満載のディザスター映画でした。
    被災後に、このような映画を見るのはいかがなものかと借りるのを若干躊躇しましたが、ハリウッド映画が地震をどう描写するのかと興味が湧き、あまり期待しないまま見ました。

    さて、映画の感想はこの記事の主題ではありませんので割愛するとして、あり得ないだろうというくらい地震で高層ビルが倒壊します。さすがにアメリカと言えども耐震設計はしてあるはずですので、最大震度の地震が発生したとしても、これほど高層ビルが倒壊することはないだろうと思います。

    カリフォルニアダウンでは、マグニチュードについての言及はありましたが、震度について全く触れていませんでした。地震が何かということを知ることが、地震から身を守ることの第一歩であると思いますので、そのメカニズムなどについて少し書いてみたいと思います。


    地震はどのようにして起こる?

    地震が何かということを簡単に説明するなら、岩盤のズレということになります。気象庁のサイトを引用しますと、
    硬い物に何らかの力がかかり、それに耐えられなくなると、ひびが入ります。地 下でも同じように、岩盤に力がかかっており、それに耐えられなくなったときに地震が起こる(岩 盤がずれる)のです。では、どうして地下に力がかかっているのでしょうか。これは、「プレートテクトニクス」という説 で説明されます。地球は、中心から、核(内核、外核)、マントル(下部マントル、上部マントル)、地殻という層構造に なっていると考えられています。このうち「地殻」と上部マントルの地殻に近いところは硬い板状の 岩盤となっており、これを「プレート」と呼びます。地球の表面は十数枚のプレートに覆われています。 プレートは、地球内部で対流しているマントルの上に乗っています。そのため、プレートはごく わずかですが、少しずつ動いています。そして、プレートどうしがぶつかったり、すれ違ったり、 片方のプレートがもう一方のプレートの下に沈み込んだりしています。この、プレートどうしがぶ つかっている付近では強い力が働きます。この力により地震が発生するのです。

    ということになります。

    海にあるプレートが沈み込む際、陸のプレートを地下へ引きずり込む力が働きます。この時、陸のプレートは引きずり込まれる力に耐えられなくなってしまい、プレートが跳ね上げられていまいます。これをプレート境界地震と呼びます。
    また、地震はプレートの間だけで発生するのではなく、プレート内でも発生することがあります。これをプレート内地震と呼びます。これは、過去200万年以内に地震を引き起こしたことのある断層によるもので、これを活断層と言います。活断層の両側の岩盤は、年数mm以下の非常にゆっくりとした速さでずれているので、両側の岩盤は長い年月を経てくっついてしまいます。しかし、くっついて活断層のある場所の動きは止まっても、周り一帯の岩盤は動き続けているので、活断層の付近の岩盤にはひずみがたまります。そして、それが限界に達すると、両側の岩盤は急激にずれ、地震を起こします。
    気象庁によると、プレート内地震の中で陸の浅い部分で起こる地震を分類してあるようですが、プレート境界地震の代表例として、先の東北大震災。プレート内地震の代表として、阪神淡路大震災があります。

    マグニチュードと震度

    地震が発生した際によく耳する言葉がマグニチュードと震度です。
    マグニチュードとは、NHKのアナウンスでもあるとおり、地震の規模を示す値であり、震度とは揺れの強さを表します。一般的にマグニチュードが小さければ震度は小さいですし、マグニチュードが大きければ震度も大きいという正比例の関係にあるようです。また、マグニチュードが1増えると地震エネルギーは32倍になります。

    さて、冒頭で紹介したカリフォルニアダウンには、震度に関する言及がないと書きましたが、日本で言う震度とは、気象庁が定めたもので、アメリカでは使用されないということが分かりました。アメリカではメルカリ震度階級というものが使用されているようです。この震度階級は、日本のように計器観測に基づく数値により厳密に定義されたものではなく、小さな揺れの場合には人間の感じた揺れの大きさに基づいて判断されるというアバウトなもののようです。

    平成28年熊本地震

    我が家が被災した先の震災は、気象庁によって平成28年熊本地震と名付けられました。
    この熊本地震は、先ほどの地震分類によるとプレート内地震となります。震源が大陸内にあることからいわゆる直下型の地震となりますので、津波は発生しません。
    4月14日に発生した前震と呼ばれる地震の震央は、熊本県熊本地方で震源の深さは11kmとなります。気象庁が発表したマグニチュードは6.5で、最大震度は7でした。この前震を機に震源の浅い地震が頻発します。同月16日に発生した本震では、震央は前震と同じ熊本県熊本地方。震源の深さ12kmでマグニチュードは7.3となり、最大震度も7でした。

    我が家がある地域は、4月14日と同月16日の震度はともに6弱ということでしたが、明らかに本震と呼ばれる16日の揺れの方が強烈でした。前震は確かに揺れましたが、テレビが地震で前後に揺れましたので、落ちないように支えた記憶があります。ということは地震が発生した最中に立っていられたということになります。

    他方本震の際は、就寝中でしたが地震の発生とともに目が覚めて、直後に強烈な揺れに襲われました。家が左右に揺れてギシギシと嫌な音がします。この時、立とうと思ってもあまりにも強烈な揺れのため立つこともできませんでした。そして、揺れがいつまでも続いていました。

    事実、前震の時は全く家に被害はありませんでしたが、本震では家のあちらこちらに被害がでました。震度というのは、同じ地区であっても地盤などの影響で揺れ方も異なるのではないかというのが実体験としてあります。

    さて、私が今回の地震を体験して何に恐怖を感じたかと言うと、それは音です。今までは気づかなかったのですが、地震が発生する時は、まず地鳴りがするのです。おそらくこの地鳴りが中学生の理科の授業で習ったP波だろうと思います。

    今回の地震で熊本の人たちは、普通の人たちが一生分で体験するであろう地震を体験したのではないかと思います。それくらい今回の地震は余震が執拗に続きます。この記事を書いている最中にも震度4の揺れがありました。
    その何回も体験した地震で、あの地鳴りの音だけは何回聞いても慣れるということはありません。どんなに揺れが小さな地震であっても最初に地面の底から聞こえてくる地鳴りを聞いてしまうと本能的に身構えてしまいます。

    地震から身を守る方法


    では、大きな地震が発生した場合どうやって身を守るかということを考えみたいと思います。

    まず、今回我が家で経験した地震は内陸型の地震になりますので、津波の心配はありませんでした。津波のおそれがある地震が発生した場合は、何よりも高台に避難するということが重要になろうかと思います。

    一方、地震の揺れそのものから身を守るにはどうするのかについて体験を踏まえて書いてみたいと思います。

    まず、震度6以上の地震が発生しますと、強烈な左右の揺れに襲われます。経験則として、地震が発生した際、一瞬何が起きたのか分かりませんでした。震度6以上の揺れの場合、棚に食器などを置いていると確実に落下します。例えば台所などの棚に重量のある食器類を飾っていると台所で作業をしている最中に地震が発生しますと、直撃して負傷する可能性があります。見せる収納は絵になりますが、地震対策という観点で考えればあまりお勧めはできません。

    次に、就寝する場所です。熊本地震が発生した際に在宅中に被災して亡くなられた方のほとんどは1階におられて、倒壊した家屋の下敷きとなりました。2階以上に在宅して亡くなられた方はいません。木造にしろ、RCにしろ建物が地震で倒壊する場合、1階部分が潰れてしまうようです。

    余談ですが、世界遺産登録で話題のコルビジェ建築の5要素の一つであるピロティ形式の建物は、地震に弱いとされています。



    この美しいサヴォア邸も大きい地震がくると倒壊してしまうかもしれないと思うとなんだか悲しくなってしまいます。

    戸建に関する考察


    現行の建築基準法による木造建築は、震度6強以上の地震で倒壊しない程度の耐久性を持つと言われています。

    ところが、熊本地震の特異なところは、短期間に震度7の地震が立て続けに発生したという点が挙げられます。短期間に震度7の揺れが続けて発生するというのは、建築基準法の想定外のケースとなります。朝日新聞によりますと、益城町では現行の建築基準法で建てられた木造戸建が51棟倒壊するなどして全壊となったという報道がありました。

    先日、我が家の設計を依頼した建築家の久野さんと現場監督のお二方が来られて我が家の被災状況を確認されました。結果、構造にダメージはないとのことで、安堵しました。久野さんの話によれば、我が家の耐震設計は十分行っているので、熊本地震であっても家が倒壊するということはないとのことでした。




    我が家の被害で大きかったのは、クロスの亀裂で、これについては、大きな地震が発生するとジョイント部分に力が加わってしまうため、クロスに亀裂が入るのは避けられないとのことでした。

    我が家は、当然のことながら現行の耐震基準に拠って建てられたものです。益城町で倒壊した耐震木造戸建と我が家では何が違うのか少し考えてみます。

    建っている場所が違う

    これを言ってしまうと身も蓋もないのですが、我が家のある場所は被災は免れなかったものの地震7の揺れに見舞われることはありませんでした。やはり揺れが大きかった地域というのは活断層が近くにある場所が多かったようです。




    我が家の場合、土地を購入する際に自治体のHPにあるハザードマップを活用しました。このハザードマップには、地震に関する「揺れやすさマップ」や「地域危険度マップ」を見ることができます。このマップを参考にしつつ、購入を考えている土地が活断層の上にないかどうかというのは事前に確認をしました。
    ただ、熊本地震発生後でも明らかになった未知の活断層というのもあるらしく、こればかりは自分の土地の地下に活断層がないことを祈るしかありません。
    いずれにしても、事前に家を建てる土地に活断層がないかどうかというのを調べることは、地震から身を守る第一歩であると思います。正直今回の地震を体験して活断層がある場所の被害というのがこれほど異なるのかということを実感しました。

    地盤改良の費用を惜しまない

    個人的には地震対策で地盤を強固にすることが一番重要だと考えます。
    特に地盤調査で液状化のおそれがあると判断された場合は、その費用を惜しまないことです。
    我が家から近隣の町では、熊本地震後の液状化が深刻です。私自身もその地域を訪れる機会がありましたが、新築の家であっても液状化で家が傾いていました。また、電柱なども沈んで傾いており、再建するには相当な費用がかかるのではないかと推測します。

    また、余談になりますが、都知事選の演説で、某候補者が地震対策として「電柱を地下に埋める」と話していました。
    しかし、私が知る限りでは熊本地震で電柱が倒れたということは聞いたことがなく、電柱を地下に埋めることは地震対策としては有効ではないと思います。

    話をもどします。

    現在、地盤改良として液状化対策の新たな工法も開発されているようで、仮に液状化の可能性がある土地に家を建てるということがあるなら、検討すべきであろうと思います。ただ、地盤改良には費用がかさむのも事実です。
    しかし、この費用を惜しんでしまうと、万が一大きな地震が発生した場合、家そのものが駄目になってしまうおそれがあることだけは頭に入れておく必要があります。

    まとめ

    最後に地震が発生した後にどのように行動すればいいかについて書きたいと思います。

    まず、大きな地震が発生しますとライフラインが止まります。となるとまず最初に生命を維持するための水が必要になります。人々が水がある場所(店も含む)に殺到します。人口が密な地域であるなら、よりその傾向が増すだろうと思います。我が家の場合、近所に湧き水が出る場所がありましたので、給水所に並ぶ必要はありませんでした。また、飲料水の備蓄は十分でしたので、緊急に必要な水で困ることはありませんでした。
    やはり、普段から備えというものが必要であるということは身につまされて体験することができました。

    また、一時的に避難所に人々が殺到します。これは、自宅が倒壊していなくとも避難所は人で溢れかえります。おそらく自治体が想定するよりも多くの人が避難所に押し寄せるはずです。これは地震の恐怖から家族あるいは一人で家にいるということが不安になるという理由からです。
    我が家の場合、当面の食料や水に不安がありませんでしたので、多くの人でごった返す避難所よりも自宅で過ごすことを選択しました。ただ、地震直後は子どもたちが家の中に入るのを嫌がりましたので、2日ほど車中泊をしました。車中泊では身体を伸ばすことができず、寝るのに難儀しました。しかし、電気が復旧していない時期で、スマホの車載充電器があったり、ラジオやテレビを見ることができましたので、情報はしっかりと入手することができました。

    車に携帯の車載充電器。地震の時はこれがマストです。また、ガソリンは出来る限り満タンにしておくこともお勧めします。熊本地震発生直後はどこのガソリンスタンドも行列ができますので、ガソリンを入れるのにもこれまた難儀した経験がありました。


    長い記事になってしまいました。


    書こうと思えば、地震のことについていくらでも書くことができますが、書けば書くほどとりとめののないものとなっていきそうです。

    大きな地震を体験して、色々と思うことがありましたので、とりあえず書くべきことをいくつか書いてみました。

    ただ、やはり書いて楽しい記事ではありませんでした。




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